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2003年、TwitterもFacebookもLINEも普及していないどころか、折りたたみ携帯電話が普及していたこの頃、北海道内の高校合唱部ではホームページが相次いで開設されました。管理人は部員である高校生。部員は各校の掲示板に書き込みし合い、いつの間にか世代や距離を超えて部員同士がつながるようになりました。お互いの演奏会を聴きに行ったり、コンクールではライバルでありながら遠く離れた”仲間”として仲良くなったり。このような中で、「あべ犬北」は誕生します。
当時から高校生の憧れであったのは北海道大学合唱団(男声)。全道各地からこの演奏会を聴きに駆けつけた大勢の合唱部員たちが。まだ顔も名前もわからないような状態でも、「○○の後輩」「同期の△△」という具合で、「友達の友達は友達」とどんどんその輪は大きくなっていきます。
30〜40人を数えるその集団は、「なぎさの地球」「あしたはどこから」「原っぱ」などの課題曲を大声で熱唱しながら(迷惑)、札幌市民会館から札幌駅までの間を練り歩き、全員で記念写真を撮りお別れしました。
あべ犬北初期メンバーの大半は、このときはじめて出会います。
北大合唱団の演奏会以来「二度目まして」状態で、お菓子を持ち寄って結成集会を開きます。各自自己紹介をしたり、団の存在意義などについて話し合い、最後に「原っぱ」「『新しい人』に」などを歌いました。
こうして、合唱団「あべ犬北」は産声を上げました。高校3年生だった1986年生まれのメンバーを中心に、当時は10名に満たない小さな団体でした。『一人一役職制』と団のテーマ「部活のノリで楽しく、めざすは全国!」を掲げて、以後2年間、地道にメンバー集めや曲の練習に励んでいきます。
各自学校の合唱部単位で申し込んで参加したセミナー。お昼休みに、ホール裏の芝生でお弁当を広げ、「原っぱ」のゲリラライブ。お隣の弥生奏幻舎"R"さんと楽しいひとときを過ごしました。
綿密な計画のもと、「魔法使いサリー」「キューティーハニー」の2曲を引っさげて、審査中のステージ開放(北海道独自なのでしょうか。審査中の空き時間で出場生徒たちがステージで好きな曲をうたいまくる夢のような時間です)ジャックを企て…たものの、昨年までのしずけさから一転、各校の生徒たちがわれ先にとすばやくステージに駆け上がり「あしたはどこから」を歌いだし、あえなく断念。大会終了後、市民会館前でひっそり「ハニー」を歌うことに。
中心メンバーが大学に進学したこの年度の初会議。前年同様「突然現れたおそろしく上手な合唱団」という野望のもと、今年度も連盟には加盟せず、実力養成期間として月1回程度の練習を積むことに。このころ所属団員は25名を超えますが、なかなか団として集まって練習できる環境にはまだありませんでした。
「赤とんぼ・村の鍛冶屋」 編曲:信長貴富
「光が」 曲:松下耕
「どうしていつも」 曲:木下牧子
指揮:坂下大樹、扇航平
団としての環境が整い、犬北の記念すべき初ステージとなったのは、高校生だけで企画したうたたね演奏会。賛助出演という形で念願のステージデビューを飾り、本格的に合唱団としての活動を始めます。
"Quatre motets pour le temps de Noel" より
「Quem vidistis pastores dicite」 曲:Francis Poulenc
指揮:小林藍
混声合唱曲「風景」(初演) 曲:長谷部雅彦
More Shakespeare Songs より「A Scurvy Tune」 曲:Jaakko Mantyjarvi
指揮:小林藍
受験を終えたばかりの高校生2名を含む総勢20名で初参加したアンコンでは銀賞(金銀銀銀)を受賞。宮澤賢治の詩による「風景」初演と、フルートやリコーダーが加わり軽快な「Scurvy〜」の2曲を演奏。
混声合唱曲「風景」 曲:長谷部雅彦
「どんぐりころころ」 編曲:増田順平
指揮:小林藍、佐々木貴教
4月に念願の札幌合唱連盟加盟を果たし、「春市」「コーフェス」として親しまれているコーラスフェスティバルに初出演。オープニングセレモニーの団紹介では、当時流行していたムーディー勝山の「右から左へ受け流すの歌」で会場の笑いを誘い、あべ犬北を印象付けられた…?
課題曲G3 「人体詩抄・抄」〜混声合唱のために〜から「鼻」 曲:池辺晋一郎
混声合唱のための「八重山・宮古の三つの民謡」より「安里屋ユンタ」 編曲:松下耕
指揮:蔵本夏実
念願のコンクール初出場。一般部門Aグループに26名で参加し、銀賞(4位)を受賞。コミカルな課題曲「鼻」では、混んだ通勤電車の中でのサラリーマンや学生といった設定を団員の中で作ったりしながら楽しく演奏しました。「安里屋〜」はこれ以後団の愛唱歌となるほどのお気に入りレパートリー。
混声合唱のための「八重山・宮古の三つの民謡」より「安里屋ユンタ」 編曲:松下耕
指揮:蔵本夏実
無伴奏混声合唱のための「映像2」より「夢みたものは……」 曲:尾形敏幸
指揮:佐々木貴教
2度目のアンコンはなんと大トリ!前日からの豪雪の影響で交通機関が麻痺する中、25名で出演。劇的なアカペラ作品・尾形の「夢みた〜」を演奏し、犬北史上初の金賞(金金金銀)を受賞!
混声合唱組曲「世界は一冊の本」より「聴くこと」 曲:信長貴富
指揮:佐々木貴教 ピアノ:齋藤百合絵
20人で出演した春市では、演奏会で取り組む組曲からピアノ曲に初挑戦。
初の演奏会は、あの「時計台」2階ホールで2日公演!総勢34名で出演し、2日で180名のお客様にご来場いただきました。犬北が結成されるきっかけとなったNHK全国学校音楽コンクールの課題曲を集めた「Youth」、これまで取り組んできたアカペラ曲の「Track」、そして未来に向かって着実な一歩を踏み出す「Future」の3部構成。
課題曲G3 心の汽車〜混声合唱とピアノのために〜より 「全身」 曲:寺嶋陸也
混声合唱組曲「世界は一冊の本」より 「世界は一冊の本」 曲:信長貴富
指揮:佐々木貴教 ピアノ:齋藤百合絵
演奏会で取り上げた団員みんなが大好きな曲を自由曲にひっさげ、29名で出場した2度目のコンクール。一般部門Aグループで金賞(4位、混声最高位)を受賞!
混声合唱組曲「ティオの夜の旅」より「祝福」 曲:木下牧子
指揮:皆川大(QuarterNotes)
QuarterNotes、あいの里タイガース、合唱団「あべ犬北」の3団体ジョイントプレ企画として、「あべ虎Notes」名義で出演。44名で「祝福」を演奏しました。
札幌で活動する若手3団体が共演! 混声・女声・男声と、編成も人数も音楽性も異なる3団体・総勢60名超で奏でる合同ステージは圧巻!単独ステージでは高嶋みどりの難易度の高いアカペラ曲「白鳥」全曲に挑戦。
課題曲:「夜のうた」 曲:佐々木伸尚
4組の規定チームに分かれて競い合い、団員の仲も深まりました。特別審査員には千葉晧司さん、皆川大さんをお招きしました。自由部門にはピアノあり、フルートありの素敵な音楽会に。
ア・カペラ混声合唱のための「春の予感」より「星の話し」「シュプール」 曲:木下牧子
指揮:長岡英彦
新しくなった市民ホールでの春市。オープニングセレモニーでは、Fitsガムの替え歌とダンスで会場も大盛り上がり。あべ犬わんわん♪
合宿という名のお泊まり会。小樽観光と自然を満喫。カレーはしゃばしゃばでした…笑
「Ave Maria」 曲:Javier Busto
「El Hambo」 曲:Jaakko Mantyjarvi
指揮:長岡英彦、小林藍
Bustoの美しいアカペラ曲と、奇妙な振り付きのHamboで思わず楽しく。
「How Do I Love You?」 曲:佐藤賢太郎(Ken-P)
指揮:藤本ももこ
Ken-Pの素敵なアカペラ曲でアンコン2度目の金賞(金金金銀)を受賞。
混声合唱組曲「十ぴきのねずみ」より
「Rock'n Roll〜十ぴきのねずみ〜」「Ballad〜いるか〜」 曲:吉岡弘行
指揮:佐々木貴教
第2回演奏会に向けて、ことばあそびのゆかいな2曲を披露。春市2日目のトップバッターを務めました。
2回目の単独演奏会は、これまで取り組んできた外国語曲、動物にまつわる「ゆかいな動物の世界」、犬北らしさを前面に打ち出し、ピアノ連弾や男声・女声合唱、アカペラなどをふんだんに盛り込んだ「こんな犬北、いかがっすか?」、そして信長貴富の「思い出すために」の4部構成。
課題曲G2「O magnum mysterium」 曲:Pierre Villette
「How Do I Love You?」 曲:Kentaro Sato
「SING AND REJOICE」 曲:Knut Nystedt
指揮:長岡英彦
16名で出場し、一般部門Aグループ銀賞。翌日の朝日新聞北海道版には、なぜかあべ犬北の写真が掲載されました。笑
「SING AND REJOICE」 曲:Knut Nystedt
指揮:長岡英彦
「ぼうし」 曲:三善晃
「卒業」 曲:新実徳英
指揮:長岡英彦 銀賞(金銀銀銀)
混声合唱とピアノのための「この星の上で」より「はる(無伴奏版)」 曲:松下耕
無伴奏混声合唱のための「Faraway」より「Crossing」 曲:信長貴富
指揮:跡部龍之介、佐々木貴教
【あべ犬北単独ステージ】
無伴奏混声合唱のための「Faraway」より「Crossing」 曲:信長貴富
混声合唱とピアノのための「この星の上で」より「はる(無伴奏版)」 曲:松下耕
「O quam gloriosum」 曲:Jacoubs Vaet
「花ぬ風車」 曲:北川昇
混声合唱のための「八重山・宮古の三つの民謡」より「安里屋ユンタ」 編曲:松下耕
指揮:佐々木貴教
「O quam gloriosum」 曲:Jacoubs Vaet
混声合唱のための「八重山・宮古の三つの民謡」より「安里屋ユンタ」 編曲:松下耕
【QSEと合同演奏】
「花ぬ風車」 曲:北川昇
「鴎」 曲:木下牧子
指揮:佐々木貴教
課題曲G1 「O quam gloriosum」 曲:Jacoubs Vaet
混声合唱のための「南風に乗せて」より「花ぬ風車」 曲:北川昇
混声合唱のための「八重山・宮古の三つの民謡」より「安里屋ユンタ」 編曲:松下耕
指揮:佐々木貴教
20名で挑んだコンクール。沖縄で長寿のお祝いとして歌われる「花ぬ風車(かじまやー)」と、同じく沖縄民謡で、犬北コンクールのデビュー曲でもある「ユンタ」で、秋めく釧路に南風を連れてきました。結果は一般部門Aグループで銀賞(7団体中3位)。
混声合唱のための「八重山・宮古の三つの民謡」より「安里屋ユンタ」 編曲:松下耕
指揮:佐々木貴教
コンクールの雪辱を晴らすべく、「ユンタ」を引っ提げての秋市。
なんと、第1部・第2部通して1団体に贈られる「札幌市民芸術祭大賞」を受賞しました!!
観客を招いてのクリスマスコンサート。あまりのお客様の多さに会場が狭い事態に!4チームに分かれたカルテット演奏と自由部門をUstreamで配信する試みも!
「Lullaby」「Double, double Toil and Trouble」 曲:Jaakko Mantyjarvi
指揮:福田貴之 金賞
札幌市民合唱祭「安里屋ユンタ」の演奏に対していただいた札幌市民芸術祭大賞の授賞式に出席。我々の演奏に次のような講評を下さりました。
不思議な名前の合唱団「あべ犬北」、素晴らしい合唱を聞かせてくれました。良くコントロールされた声とともに、確実なピッチ、そして複雑に主張しあう各パートの存在感がありながらの安定した統一感。見事でした。また繊細なハーモニーの変化、ていねいな言葉の扱い方、ディナーミクの幅の大きさによる豊かな表現が、大変魅力でした。合唱団としてのみならず、一人一人の団員が、合唱の質の高さを追求している、レベルの高さを充分に感じさせてくれる演奏でした。
犬北にも出身OB・OGがおり、これまでも何度か見学に来て下さっていた北陵高校合唱部と「安里屋ユンタ」の合同練習を開催。この年の9月、北陵さんは「安里屋〜」を自由曲にコンクール道大会で金賞を受賞されました。そのほか、北陵さんが「なみだ」、犬北が「How Do I Love You?」をそれぞれ歌い、最後に全員で「しあわせよカタツムリにのって」を大合唱しました。
課題曲G1 「Ego sum Panis vivus」 曲:G.P. Palestrina
Missa Tertiaより「Gloria」 曲:松下耕
指揮:残間賢人
ドラマティックな松下耕のGloriaを自由曲に挑んだコンクール、結果は奨励賞。
「歩くうた」 曲:信長貴富
「たったいま」 曲:松下耕
指揮:残間賢人、横野響介
「Hymn to Freedom」 指揮:Jennifer Tham 曲:Oscar Peterson 編曲:Paul Read ピアノ:松本望
「信じる」 指揮・曲:松下耕 ピアノ:松本望
「Better World」 指揮:Jonathan Velasco
日本・シンガポール・フィリピンのアジア3か国を代表する指揮者が、それぞれの率いる合唱団とともに2年に1度開催する国際ジョイントコンサート「THREE」の第4回札幌公演に、公募合唱団として参加。300名を超える大合唱団は、ステージにとどまらずP席を埋めるほど。
「南京玉簾」 曲:千原英喜
指揮:原慎一郎(客演)
初めての客演指揮にヴォイストレーナー・原さんを迎え、千原英喜の南京玉簾で金賞(金金金銀)を受賞。
「序―悲しめるもののために―」「老いたるえびのうた」(委嘱初演) 曲:藤嶋美穂
指揮:残間賢人
10周年に向けて委嘱した、室生犀星の詩による組曲から2曲を先行初演。
課題曲G3 「どうしてだろうと」 曲:鈴木憲夫
自由曲 混声合唱とギターのための組曲「クレーの絵本 第一集」より
「階段の上の子供」「あやつり人形劇場」「黄色い鳥のいる風景」 曲:三善晃
指揮:佐々木貴教 ギター:長谷川裕規
昨年の悔しさをバネに挑むコンクール。部門再編初の大会で室内合唱の部に22名で出場。
函館へ向かうバスの中で、三善先生の突然の訃報を耳にします。突然のことに一同動揺を隠せないながら、先生に届くよう、祈るように全身全霊で歌い上げました。結果は犬北史上最高の金賞・瀬川賞(3位)を受賞、はじめてカップを受賞。記憶に残る大会となりました。
混声合唱とギターのための組曲「クレーの絵本 第一集」より
「あやつり人形劇場」「黄色い鳥のいる風景」 曲:三善晃
指揮:平田稔夫(客演) ギター:長谷川裕規
日頃からお世話になっている札幌北高・THE GOUGE指揮者であり、三善作品といえばこの人!平田先生に客演指揮をお願いし、コンクールで演奏したクレーから2曲を演奏。
混声合唱組曲「あさきよめ」より「五月」 曲:藤嶋美穂
指揮:佐々木貴教
恒例のオープニングセレモニーでは「あべと犬の女王」。あべさんがいないー♪
課題曲G3 「夜もすがら」 曲:千原英喜
自由曲 混声合唱組曲「あさきよめ」より「あさきよめ」 曲:藤嶋美穂
指揮:蔵本夏実 ピアノ:石井ルカ
部門再編2年目は混声合唱部門に30名がプレミアム絶好調で出場。銀賞(4位)ながらも、「あさきよめ」を多くの方に聴いていただけるよい機会となりました。「幸福なんぞあるかないかも判らないが/生きて生き抜かなければならないことだけは確かだ」という一文はもはや団員全員が背中を押された応援歌。